二人制審判の勉強



(14)なぜ基本なの二人制審判

首都圏野球審判協会・二人制システム勉強会

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「二人制審判は審判の基本」であると聞かされたことがあります。なぜ基本なのかを疑問を交えて検証してみたいと思います。

 一人制審判のできことです。小雨が降り続くナイターでした。ノーアウト走者2塁、3塁でレフトへフライが上がりました。

2、3塁の走者がタッチアップの確認できる位置と角度をとり、このプレーに備えました。

 この時、レフトが捕球したか否か、小雨と照明が暗くて見えにくくなりました。それでもなんとか捕球を確認しました。だが、ボールがポロリと落ちるのが見えました。

 さて、ここからが問題です。審判の眼には捕球した後の送球体勢の時に落球と見えました。アウトの宣告をいたしました。ところが3塁コーチャーから「捕球をしていない」と言ってきました。

 結果は、審判の裁定は覆りません。もし二人制審判で行なっていましたら、塁審と球審との見る距離は20メートル近く違います。ということは正確に判定できるということです。

 アメリカのマイナーリーグの審判は二人制です。彼らの目的ははっきりしています。将来メジャーでしっかり四人制ができるために二人制で勉強して、さらに三人制も行います。ですから彼らにとっては「二人制審判は審判の基本」ではないでしょうか。

 われわれは、四人制を目的としておりません。市町村大会では3回戦あたりから四人制を取り入れているところもあります。また、ネット大会のブロック決勝戦・全国大会でも四人制で行われます。

 また、少年野球等ははじめから「四人制審判」で一人制・二人制はまったくやったことがない審判員もおります。

 それではなぜ二人制審判が「審判の基本」なのでしょうか。

 二人制の場合はプレーの判定を一人が50パーセント行えばいいのです。いわゆる仕事の分業です。二人で100パーセントになればいいのです。

 ところが実際は75パーセントだったり、同じプレーを二人で見たりして50パーセントになったりすることがあります。

 相棒の動きと、プレーの予測を敏感に読み、相棒が間違った動きをしたらそれを補佐するのも楽しいのです。

 先日、こんなプレーがありました。ノーアウト・走者なしでライト前へふらふらとボールがあがりました。ライトは前進、前進でワンバンドで捕球しました。と、同時に一塁の矢のように送球をしました。

 一塁塁審はライト方向へ走り「ノーキャッチ」のコールをしました。球審は一塁方向へ走り、一塁の判定をいたしました。

 まったく同じ場面です。球審がマウンド付近まで走り「ノーキャッチ」のコール。一塁塁審が一塁の判定をいたしました。

 さて、どちらが正しいのでしょうか。という問題に走り勝ちですが、両方とも50パーセントの仕事分業をしています。

 走者がそれぞれの塁にいますと50パーセントの仕事分業が忙しくなります。こういう場面でこそ合計100パーセントの分業システムを試される場面です。

 われわれの団体から将来「プロの審判」を目指す人材が現れたら嬉しいです。現在はまだまだ「二人制審判」の魅力に留まっています。それでも「うすっすら」ですが二人制は審判の基本ということが分かって来ました。

 多くの会員に二人制審判を体験していただきたいと思っています。

 


(2008年10月1日)


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