二人制審判の勉強



複数審判制におけるフォーメーションの形成とコミュニケーション(3)

甲斐 雄之 

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次にコミュニケーション用語を掲げますがカナ文字の棒読みスタイルでは、さまになりませんので、簡潔明瞭なイントネーションで伝達するために原語で記載します。

塁審が外野への打球を追う★I`m going out 又は Going out。
○球審がレフト側ファウルライン際の打球を判定する★I've got the ball。

○球審がライト側ファウルライン際の打球を判定する★I'm on the line。

○塁審が本塁のプレーに備える★I'm going home。到着後★I've got the plate。

○球審が三塁のプレーに備え走る★I've got third if he comes。判定ポジションへ入る★I've got third。三塁又は途中から本塁へ戻る★I'm going home。又はGoing home。本塁にいる又は留まる★I'm home。又はStaing home。走者一塁・二塁で二塁走者がタッグアップして三塁を伺う場合★I've got third if he comes。判定ポジションへ入る★I've got third。

○球審がランダウンプレーで一塁又は三塁のカットエリアへ出て塁審を援助する時★I've got this end。球審と塁審がランダウンプレーを半々に受け持つ時★I've got tHis half。球審又は塁審がランダウンプレーを一人で受け持つ時★I've got it all。以上がコミュニケーション用語の主なものであります。


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塁審が外野へ飛んだ打球を追う場合について述べます。

★外野手が後方へ激しく移動する場合。★野手が2・3人集まって来てプレーが行われる場合。★外野手が前や横へ激しく移動する場合。★ファウルライン付近の打球(ラインから両側20フィート、約6m位)。★アウトオブプレーの可能性がある打球。であります。ポーズ・リード・リアクトは判定行動を決断するための基本動作であります。

的確な判断をしてパートナーへ行動の伝達をしてフォーメーションを形成することが大切であります。以上に述べた二人制フォーメーションメカニックにおいては、フェア/ファウルの判定及び打球に掛かるキャッチ/ノーキャッチの判定に続き、プレーの展開に応じて、二つの塁更には三つの塁における走者の触塁並びに走者へのプレーを判定することになります。

塁上に走者があり、ワーキングエリア(ピッチャースマウンドと二塁ベースの中間で、左・右へ楕円形に広がる塁審の行動エリア)に位置する塁審は球審が三塁のプレーへ対応する場合を除いて、外野への打球判定をした後も、三つの塁で起こるプレーに対応します。

この場合、打者走者を含むと二人以上の走者への判定行動を受け持つことになり、プレー全体の展開を注視し、対応すべきプレーへの距離及びアングルを確保すると共に、他の走者へプレーが振られた場合も、これに対応することになります。

塁審の判定行動は一点のプレーのみではなく、多方向のプレーへの対応が求められ、そのためのポジションとしてワーキングエリアが存在するわけです。敏捷でスムーズな判定行動のメカニックをステップワークと呼び、このメカニックを習得する必要があります。

リバースターン、ダブルプレー、盗塁及び投手から塁への牽制、その他判定行動における無駄の無い合理的なステップがこれであります。塁審が的確な判定行動をおこなうにはスムーズなステップの行動感覚をしっかり身につけることが大切であります。


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ここまで二人制フォーメーションメカニックとこれを形成するための状況認識及びパートナーへの行動意思の伝達から判定に至るまでのプロセスについて述べました。

このメカニックがスムーズに展開するためにはクルーの行動認識の一致が絶対要件であります。この為に意思疎通の手段であるコミュニケーション(伝達)をフォーメーション形成の起点に置いているメカニックの趣旨を自覚して行動すべきであります。

行動意思の伝達にはマニュアルで述べているボイスコミュニケーションの他シグナルコミュニケーション、お互いにパートナーの行動を視野に入れ自在に行動意思の共有ができるベテランの手法などありますが、ゲームを受け持つクルーの伝達手法はきちんと共有してグランドへ立つべきです。

クルーのパートナーが経験豊かでお互いに行動意思の共有ができ、お互いのポジション形成がスムーズに行える状況であれば、プレーの変化への対応、クルーの意思で行うホジショニングなどを覗けば、パートナーの行動を確認するだけで、行動意思の共有ができます。

しかし、パートナーが新人或いはクルーをくんだ経験が無い者であれば、基本どおり必要に応じ行動意思の伝達を行い、行動意思の共有をはかる必要があります。以上で二人制フォーメーションの形成とコミュニケーションについての話を終わります。次回は三人制及び四人制審判について触れます。


(2012年3月15日)



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