二人制審判の勉強



複数審判制におけるフォーメーションの形成とコミュニケーション(4)

甲斐 雄之 

トップページへ
前ページへ


三人制審判 先ず本項で述べる派遣審判員の活動においては、既に活動実態で述べたように、三人制及び四人制審判を担当する機会は、これを専門行う立場のグループを除き、特別なケース(ハイレベルの大きな大会、大会の準決勝・決勝及び特別なイベント等)に限られます。

従って、この審判制のフォーメーションメカニックを用いる機会は限られており、日常馴染んでいないフォーメーションでゲームを担当することになります。

このような実情において三人制及び四人制審判を担当する時は、フォーメーションメカニックの行動原理をクルー全員が綿密に認識してグランドへ立つことです。フォーメーションの形成には、既に二人制審判において述べました。

行動の基本原理をベースとして、クルー全員が行動意思の一体化を図り、スムーズにフォーメーションの形成を行い、的確な判定行動を行うように努めることが大切です。

フォーメーション形成の基幹であるコミュニケーション(行動意思の伝達)の手法については二人制審判において述べており、本項においても共通原理であります。

複数審判制は二人制フォーメーションを基礎として三人制フォーメーションへのバリエーションを行い、更に三人制フォーメーションから四人制フォーメーションへバリエーションを行っており、行動の基本原理はそれぞれに継続しております。

従って、二人制フォーメーションにおいて説明した行動の基本理念をこれから述べる三人制及び四人制審判のフォーメーションメカニックの手法に適用して、それぞれのメカニックの行動原理を理解して下さい。

フォーメーションの形成を理解するために、ここで述べる審判員の配置、打球判定の責任範囲及び審判員の行動状態をフォーメーション図として記載して検証していただければ、より理解し易いと思います。


image

ここでフォーメーション形成について述べる前に、塁審が外野への打球を追う場合について再確認をさせていただきます。

打球を追うか、追わないかがフォーメーション形成のキーポイントになるからであります。三人制で一塁又は三塁に位置する塁審が打球を追えば、その塁審はこれの判定に専念し、フォーメーション形成は二人制に切り替え行います。四人制のこのケースも三人制に切り替え行います。

ただし、三人制において二塁に位置する塁審が塁間を結ぶ仮想線の内側に位置する場合において、外野への打球判定を行う場合はグラスラインより外へ出ずに判定を行い、フォーメーションにおける自己の責任エリアで判定行動を行います。

四人制におけるこのケースでは、二塁塁審は走者のみを担当し、打球判定は行いません(四人制審判において述べます)。

◇塁審が打球を追う場合とは。
1、外野手が後方へ激しく移動する場合。
2、野手が2・3人集まって来てプレーする場合。
3、外野手が前や横へ激しく移動する場合。
4、ファウルライン付近の打球(ラインから両側20フィート位)であります。

外野へ打球が飛んで、追うべき打球と判断したら、伝達と行動で行動意思をパートナーに示し、状況に応じたフォーメーションを形成してプレーの展開に備えます。

パートナーとの行動意思の確認は行動の起点として最重要であります。追うべき打球(トラブル打球と呼びます)ではない、イージーな外野手付近への飛球(ルーティンフライボールと呼びます)などはポジション付近のプレーを見通す位置でプレーに正対して判定を行い、プレーの展開に応じたフォーメーションの形成に備えます。


image

それでは三人制フォーメーションの形成について簡略に説明します。

○ 三人制における塁審のスターティングポジションについて述べます。

☆走者無しの場合。 塁審は一塁と三塁に位置し、各塁の野手から10〜12フィートに位置し、深い守備の場合は5〜6フィート、ベースから15フィート以内に位置しない。

☆走者一塁の場合。 塁審は一塁と二塁に位置します。一塁の塁審は走者から6〜8フィート後方に位置し。二塁の塁審は二塁から一塁側又は三塁側(チョイス)の塁間を結ぶ仮想線から3〜4フィート中でベースから10〜12フィートに位置します。

☆走者一塁・二塁の場合。 塁審は一塁と二塁に位置します。二塁の塁審はホームベースからヒッチャースプレートを囲む18フィートの円の縁の左側(ショート側)に沿って延ばした仮想線上で二塁ベースとヒッチャースプレートの中間点に位置します。

☆走者一塁・三塁の場合。 塁審は一塁と二塁に位置します。塁審のポジションは走者一塁・二塁の場合と同じです。

☆走者二塁の場合。 塁審は二塁と三塁に位置します。二塁の塁審は一塁と二塁を結ぶ仮想線から3〜4フィート中で二塁ベースから10〜12フィートに位置し、三塁の塁審は三塁手から6〜8フィートに位置します。

☆走者二塁・三塁の場合。 塁審は二塁と三塁に位置します。塁審のポジションは走者二塁の場合と同じです。

☆走者三塁の場合。 塁審は一塁と三塁に位置します。三塁の塁審は三塁手から6〜8フィートに位置します。

☆走者満塁の場合。 塁審は一塁と二塁に位置します。塁審のポジションは走者一塁・二塁の場合と同じです。

○ 球審と塁審の外野への打球判定における責任分担について述べます。

☆一塁に位置する塁審。 センターの守備位置から一塁側ファウルラインの内・外を含む打球。

☆三塁に位置する塁審。 センターの守備位置から、センターが前進する打球及び守備位置から三塁側ファウルラインの内・外を含む打球。

二塁に位置する塁審。 球審が塁審を置いていない一塁側又は三塁側ファルラインを含む内・外及びハァウルラインに向かって野手が追う打球の判定を行う場合においてセンターの守備位置から球審が行う判定エリアの間の打球判定(レフト又はライトの前進を含む)を行います。

二塁に位置する塁審が外野への打球を追い、キャッチ/ノーキャッチの判定を行う場合は、外野へ深く追う打球であっても、グラスラインより外へ出て打球を追わず、判定後、速やかに自分が担当するプレー及び展開するプレーへの対応に備えます。

一塁又は三塁に位置する塁審が打球を追い、フェアー/ファウル、キャッチ/ノーキャッチ及びアウトオブプレーの判定を行う場合は、この判定行動に専念し、他の塁審と球審で二人制フォーメーションに切り替えて、展開するプレーへ対応します。球審は先に述べた塁審を置かない側の打球判定を行います。(つづく)


(2012年4月1日)



トップページへ
前ページへ