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複数審判制におけるフォーメーションの形成とコミュニケーション(7) 甲斐 雄之 |
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★走者満塁の場合。 二塁の塁審は外野への打球に対する野手の守備を見て、打球の判定責任がある場合(レフトとセンター間の打球及びレフトが前進して守備する打球)は打球と守備の状況から目を切らず、判定が困難と判断したら、グラスライン付近まで出て、角度良くプレーを判定し、三塁走者がタッグアップをすれば素早く三塁カットエリア付近へ詰めて、リターンプレーに備えます。 打球を野手が落球した場合、安打、抜けて長打となった場合には一塁の塁審は二塁・一塁間ワーキングエリアで二塁と一塁の全てのプレーを担当します。ボールとプレーの展開を見て、プレーが起こる塁へステップします。 複数の走者がある場合はワーキングエリアから出ず、単数の走者になったらプレーが起こった塁へ詰めて判定します。二塁の塁審は素早く三塁カットエリア付近へ移動して、三塁のプレーを担当します。球審は外野への打球に対する野手の守備を見て、打球の判定責任がある場合(三塁側ファウルライン際の打球及びレフトがファウルラインに向かい打球を追う場合)はこれを行い、打球が飛球であれば三塁走者のタッグアップを見通して本塁へ戻り、本塁のプレーに備えます。
一塁に位置する塁審が打球を追う場合。 野手が落球した場合、安打、抜けて長打となった場合は、ワーキングエリアでボールの方向及びプレーの展開に応じてプレーが起こる方向へステップして、プレーに対応出来るポジションを維持しながら、一塁から三塁までの全てのプレーを担当します。 ボールとプレーの展開から目を切らず、野手がプレーを振る場合があるので、視野を広く持ち、全体のプレーを把握して行動することが大切です。球審は打球が飛球であれば、三塁側ファウルラインの外側へ出て三塁走者のタッグアップを見て本塁へ戻り、本塁のプレーに備えます。 野手が落球した場合、安打、抜けて長打となった場合における走者の三塁触塁は打者走者を除き、三塁側ファウルラインの外側へ出て球審がこれを見ます。走者満塁で二死であれば、タイムプレーを意識するコミュニケーションを行います。 以上、三人制審判のフォーメーション形成とコミュニケーションについて述べました。ここで、確認しておきたい事項について述べさせて頂きます。
★塁審が二塁に位置する場合のポジションは塁間を結ぶ仮想線の内側であり、外野への打球判定責任がある場合であっても、一塁及び三塁に位置する塁審がトラブルボールを追った場合のようにフォーメーションの形成を二人制に切り替えることはしません。 打球の判定を行うのはワーキングエリアからグラスラインまでの間であり、走者のタッグアップ及びリターンプレーへ対応し、走者へのプレーに対応するために三人制フォーメーションのポジション形成の中で行動することを認識してください。 ★プレーへの対処におけるポジショニングにおいて、カットエリア付近まで詰めてプレーを判定する場合とワーキングエリアでプレーの展開にステップワークで合わせて判定を行う場合のケースを区別して理解してください。 ★球審の仕事として、オブザーブすると述べたことについて触れておきます。Observeとは、この場合、展開するプレーを監視することであり、この目的はオブストラクション、インターフェア及びパッスィング(追い越し)等のチェックであります。プレーを担当する塁審が判定する場合を除き、プレーの判定を行います。 ★最後は繰り返し述べてきましたが、テーマの一つであるコミュニケーション(行動意思の伝達)であります。この手法はすでに述べてありますので、それぞれのケースに当てはめて行動意思の共有を図ってください。三人制審判を終わります。 (2012年5月15日) |