二人制審判の勉強



複数審判制におけるフォーメーションの形成とコミュニケーション(11)

甲斐 雄之 

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○ 打球の判定とフォーメーションの形成。
☆ 走者一塁の場合。 塁審が外野への打球を追わない場合(各塁審が担当する塁のプレーを受け持つ)。

例1 (無死又は一死) センターからレフト寄り、高く上がった飛球、中堅手が落下点へ入る(ルーティンフライボール)。 一塁塁審は打球に対する野手の守備状況及びクルーの対応を見て、一塁ベース横、ファウルラインの外側(ラインから10〜12フィート)へステップして、野手のプレーと走者のタッグアップを見通せる位置でプレーに正対します。野手が捕球し、走者がタッグアップすれば、これを見て、一塁のリターンプレーに備えます。

二塁塁審は打球処理に対する判定を行いません。ベースラインの内側カットエリア付近(カットエリアの外、以下同じ)へステップして、野手のプレーを注視し、プレーの結果により起こる二塁のプレーに備えます。三塁塁審は打球に対する野手の守備状況を見て、打球の判定責任が自分にあることを認識し、トラブルボールでないと判断したら、野手のプレーに正対して判定を行います。

判定動作については「走者無しの場合」で述べたので参照してください。球審は本塁の前へ出てオブザーブをせず、本塁にステイして、プレーの展開を注視します。打球を野手が落球した場合は、各塁の待機ポジションでプレーの展開とクルーの行動を注視し、自分が担当する塁のプレーに備えます。


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★一塁塁審が外野への打球を追う場合(トラブルボール、三人制フォーメーショに切り替えます)。

例2 (無死又は一死) ライトファウルライン際へ飛んだ打球(ライナー)を右翼手が激しく追う。 球審は打球に対する野手の守備状況及び一塁塁審が打球を追うのを見て、ファウルラインの内側を一塁カットエリア付近まで移動します。

打球に対する野手の守備を注視して、野手が打球を捕球すれば、一塁走者のタッグアップを見て、リターンプレーに備えます。野手が打球を落球した場合、打球の判定がフェアであれば、ステイして打者走者の一塁触塁を見てリターンプレーに備えます。

打球が抜けて長打になれば、プレーの展開を注視し、本塁のプレーがあると判断したら、素早く本塁へ戻り、本塁のプレーに備えます(ファーストベースラインエックステンデイッドに位置します)。 二塁塁審はベースラインの内側(カットエリアの外)へステップして二塁の全てのプレーを担当します。

三塁塁審は三塁ベース後方(ベースから10フィート)、ファウルラインの外側(ラインから5〜6フィート)へステップして、プレーの展開を注視して待機、三塁の全てのプレーに備えます。

三塁塁審が外野への打球を追う場合1(トラブルボール、三人制フォーメーシ
ョンに切り替えます、ローテーション方式を選択)。


カット

 

例3ー1 (無死又は一死) レフト・センター間深くへの打球(ライナー)、左翼手と中堅手が激しく打球を追う。 一塁塁審は打球に対する野手の守備状況及びクルーの対応を見て、一塁ベース横、ファウルラインの外側へステップして、打球に対する野手の守備と一塁走者のタッグアップを見通してリターンプレーに備えます。

野手が打球を落球した場合、打球が抜けて長打となった場合は、打者走者の一塁触塁を見てプレーを注視、球審が三塁へ移動すれば、プレーの展開を視野に入れ、ファウルラインの外側を本塁へ移動して、本塁のプレーに備えます(ファーストベースラインエックステンデイッドに位置します)。

二塁塁審は打球に対する野手の守備状況を見て、ベースラインの内側(カットエリアの外)へステップして、タッグアップした一塁からの走者へのプレーに備えます。野手が打球を落球した場合及び打球が抜けて長打となり、一塁塁審が本塁へ移動すれば、ワーキングエリアへポジションをとり、プレーの展開に合わせ、その方向へステップして、二塁と一塁のプレーを担当します。

球審はファーストベースラインエックステンデイッドに位置して、打球に対する野手の守備状況及びクルーの対応を注視し、野手が打球を落球した場合及び打球が抜けて長打となり、三塁のプレーを想定したら、ファウルラインの外側(ラインから6〜8フィート)を三塁へ移動し、三塁手前約20フィート(少なくてもハーフウエイまでは動く)の位置で待機し、プレーが三塁へ展開すると判断したら、ファウルラインの内側へ入り、三塁カットエリア付近(カットエリアの外、以下同じ)へステップして、プレーの判定に備えます。

三塁塁審が外野への打球を追う場合2(トラブルボール、三人制フォーメーシ
ョンに切り替えます、スライド方式を選択)。フォーメーション形成の基本方式はローテーション方式であります。二死の場合に選択してスライド方式を用いる場合があります。

例3ー2 (二死)レフトファウルライン際の打球、打球はフェアとなり、抜けてフェンス際で左翼手が処理する長打となる。 一塁塁審は打球に対する野手の守備状況及びクルーの対応を見て、ピボットエリアへステップ、本例は長打であるので、ピボットして打者走者の一塁触塁を見て、走者に先行して二塁カットエリア付近へ移動して、二塁のプレーを担当します。

ケースが野手の落球又は単打で、プレーの展開に応じた判定行動を取る場合は、ワーキングエリアに位置して、プレーの展開に応じてその方向へステップして、二塁と一塁のプレーを担当します。 二塁塁審は打球に対する野手の守備状況及びクルーの対応を見て、ワーキングエリアエリアへステップして、一塁走者の触塁を見て、走者に先行して三塁カットエリア付近へ移動して、三塁のプレーを担当します。

ケースが野手の落球又は単打で、プレーの展開に応じた判定行動を取る場合は、一塁走者の二塁触塁及び二塁で起こるプレーを担当し、走者が三塁へ進塁すれば、これに先行して三塁カットエリア付近へ移動して、三塁のプレーを担当します。 球審は打球に対する野手の守備状況及びクルーの対応を注視し、本塁の前(約10フィート)へ出てオブザーブします。

プレーの展開を見て本塁へ戻り、本塁のプレーに備えます(ファーストベースラインエックステンデイッドに位置します)。次回へ続きます。

(2012年7月15日)



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