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複数審判制におけるフォーメーションの形成とコミュニケーション(15) 甲斐 雄之 |
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○打球の判定とフォーメーションの形成 ☆ 走者二塁・三塁の場合 塁審が外野への打球を追わない場合とは、塁審が外野への打球を追う場合のケース(トラブルボール)について、このシリーズで何回も例示して述べましたので、この事をしっかり認識したうえで判断をしてください。 具体的には打球処理の判定を要しない安打となる打球及び野手の守備位置付近への飛球で、野手が平易に処理を行えると判断した打球(ゲームのレベルや風・雨等の気象条件及び施設の状態も考慮します)と言うことになります。 この認識と行動判断はフォーメーションの形成において重要な要件であります。しっかりした判断が出来ないと、混乱とトラブルの原因となります。
例1 (無死又は一死) センターの守備位置からライト寄りに高く上がった飛球、中堅手が落下点へ入る(ルーティンフライボール)。 二塁塁審は打球に対する野手の守備状況を見て、ベースラインの内側カットエリア付近へステップして、野手の打球処理と二塁走者のタッグアップを見通し、リターンプレーに備えます。 三塁塁審は打球に対する野手の守備状況及びクルーの対応を見て、三塁ベース横、ファウルラインの外側(10〜12フィート)へステップして、野手の打球処理と三塁走者のタッグアップを見通し、プレーの展開を注視して判定待機ポジションへ入り、三塁のプレーに備えます。 球審は打球に対する野手の守備状況及びクルーの対応を見て、ファーストベースラインエックステンデイッドに位置してプレーの展開を注視しながら、三塁走者がタッグアップをすれば本塁のプレーに備えます。 打球を野手が落球した場合には、各塁審は各塁の待機ポジションで、プレーの展開とクルーの行動を注視し、自分が担当する塁のプレーに備えます ▲ 例2ー1 (無死又は一死) ライト・センター間への打球、右翼手と中堅手が激しく打球を追う。 三塁塁審は打球に対する野手の守備状況及びクルーの対応を見て、三塁横、ファウルラインの外側(10〜12フィート)へステップして、野手の打球処理と三塁走者のタッグアップを見通し、三塁の待機ポジションへステップして、打球を野手が落球した場合、抜けて長打となった場合も含め、三塁の全てのプレーを担当します。 球審は打球に対する野手の守備状況及びクルーの対応を見て、ファーストベースラインエックステンデイッドに位置してプレーの展開を注視し、本塁のプレーに備えます。 二塁塁審は打球に対する野手の守備状況を見て、プレーの展開を読み、一塁ピボットエリアへ素早く移動して、打者走者の一塁触塁を見て、一塁のリターンプレーに備えます。本例は一塁のリターンプレーへの対応であり、判定行動はプレーを見通すアングルを保持して判定ポジションへステップ(数歩)、二死でありタイムプレーの状況判断をして判定を行います。 球審の場合もタイムプレーの状況判断をしたら、本塁へ触塁する走者と一塁の判定を見通して得点の判定を行います。タイムプレーへの対応については既に何度も述べましたので、これを参照してイメージを構成してください。得点が絡む重要な仕事であります。
★ 三塁塁審が外野への打球を追う場合(トラブルボール、三人制フォーメーションに切り替えます。スライド方式をとります)。 ▲ 例3ー1 (無死又は一死) レフト・センター間の打球(ライナー)、左翼手と中堅手がこれを激しく追う。 二塁塁審は打球に対する野手の守備状況及び三塁塁審の対応を見て、全力で三塁カットエリア付近へ移動して、打球を野手が捕球し、三塁走者がタッグアップをした場合のリターンプレーに備えます。打球を野手が落球した場合、抜けて長打となった場合には、この位置にステイして、三塁の全てのプレーを担当します。 球審は打球に対する野手の守備状況と三塁塁審の対応を見て、三塁側ファウルラインの外側へステップして、野手の打球処理と三塁走者のタッグアップを角度良く見通して本塁へ戻り、ファーストベースラインエックステンデイッドに位置して、本塁のプレーに備えます。打球を野手が落球した場合、抜けて長打となった場合も同じ行動となります。 ▲ 例3ー2 (二死) レフト後方への飛球、左翼手が背走して追うが、抜けてフェンス際へ落ち、バウンドしてフェンスを超える。 一塁塁審は打者走者の一塁と二塁の触塁を、二塁塁審は二塁走者の三塁触塁を、球審は三塁及び二塁走者の本塁触塁を見ます。以上で走者二塁・三塁の場合を終わります。 (2012年9月15日) |