二人制審判の勉強



  侍アンパイア、2人制審判講習会に参加して

富士ノ浩之審判員 

トップページへ
前ページへ


 我々野球審判員のバイブルは3つある。
 1つは公認野球規則、言わずもがなルールを規定している。250ページもあり、あらゆるスポーツ規則01で最もページ数が多く複雑である。

 2つめは野球審判員行動規範マニュアル、曖昧で明文化されていない規則を、どのように適用したらよいか、規則適用上の解釈をとりまとめている。

 3つめは審判メカニクスマニュアル、2〜4人制野球審判のフォーメーションを標準化している。

 今回受講の審判講習会(全4回)は、この3つめのメカニクスを中心としたカリキュラムで、2人制審判のフォーメーションや状況コントロールを学んだ。



本文とは関係ありません

 早速であるが、2人制審判において、何よりも大切なことは何だろうか?それは、明確に定義された責任分担とコミュニケーションについての完璧な理解と云えよう。
 
 責任分担の実際は、以下のケースで発生する。
 フェア・ファール、キャッチ・ノーキャッチ、外野飛球、触塁、各塁上でのプレー、本塁でのプレー、走路、悪送球・安全進塁権、タッグアップ、牽制球、盗塁、ランダウン、ハーフスイング、ファウルチップ・ファウルボール、タッグしていない・足が離れる、インフィールドフライ、タイムプレー、補球されなかった第三ストライク審判講習会では、これらについて、ケーススタディで検討した。

 例えば、打球がライトに打たれたとする。このとき、ポーズ・リード・リアクト(Pause-Read-React)というテクニックを使う。2人制審判を行う上で、最も重要なテクニックといっても過言ではない。(参考:本文面末尾に記述)

 そして、審判員同士がお互いの責任分担範囲を理解し、それぞれのフィールド責任分担を最大限に生かすためには、審判員同士のコミュニケーションが大事である。コミュニケーションには、言葉によるシグナル、動作によるシグナル、アイコンタクトを用いる。

 昨今は殆どの試合が1人審判であるが、メジャー大会は2〜4人制審判で行うため、技術に裏付けられた高いコミュニケーション力を要求される。

 その他にも、判定を下すために一番大切な“角度と距離”、球審の投球判定、ボーク判定等、有意義なカリキュラムを通して、各技術の再確認と自己チェックをすることができた。

 毎週木曜日に学び、その週末土日曜日で意識し実践する。先週まで曖昧になっていたメカ二クスや判定に、スピード感と正確性が戻ってきていることを実感する。

 積み重ねた審判歴は12年になるが、何年経っても審判講習会はワクワクする。
 1年間の自分のアンパイアリングを振り返りながら、基本テクニックを再確認し、新たなトレンドを学ぶ。

 2014年の審判活動に向けて、早くも身体がウズウズしてきている。



本文とは関係ありません

エピローグ:
 楽しむことが目的のベースボール、楽しむために大事なこと、スポーツマンシップとフェアプレーの精神、そしてマナーの存在。

 勝つことを大事にすると、マナー疎かになる、勝利至上主義の弊害。勝つのを観に行くだけではなく、良いプレーを観に行くファンが増えていって欲しいと願っているし、そういる野球界にしていきたい。

 NPB技術指導員である平林氏からの熱いメッセージが心に響いた。

参考)ポーズ・リード・リアクト
 ポーズ:打球が打たれたら、すぐに動き出すのではなく、その打球が球審・塁審どちらの責任分担なのかを判断する“間”を取ること、それがポーズ。

 リード:自分の責任分担と判断したら、その打球でどのようなプレーが起こるのかを“読む”こと、それがリード。具体的には、その打球がトラブルボールなのかルーティンフライなのかを読むことになる。

 リアクト:リードで下した判断に基づいて、行動を起こすことを“リアクト”という。この場合では、トラブルボールで、打球を外野へ見に行く(Go Out)のか、ルーティンフライと判断して、内野に入る(Come In)にか、いずれかの行動を起こすことがリアクトになる。

(2014年1月1日)



トップページへ
前ページへ