審判員の本音
審判員の本音
◇◇◇ 境野興造審判員 ◇◇◇


【5】 オリンピックの野球を見て思うこと
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 各国より選ばれた審判員がそれぞれの試合を担当されているようですね、私は野球を見ているのですが、いつの間にか審判の判定の方に興味が沸いていました。
 個人、国の違いで結構見方も変わるのだな〜札幌での、壮行試合で見たような(数回)2塁へのけん制球等も有りかな〜なんて、(私達の常識からすればボークです)思いながら各審判員の動きを楽しみました。

 新聞からの切り抜き「凄いプレーだねえ。こんなの見たことない」と、解説の星野仙一さんも驚いた。アテネ五輪の野球、キューバ対オーストラリアの決勝戦。6回表に飛びだしたオーストラリアの一塁手キングマンの守備だ。キューバの選手が一塁前へセーフティーバント。これをキングマン、素早く前進するや、素手でボールをつかんで後ろも見ずにバックトス。これを走り込んだ二塁手フィングルソンが塁上でキャッチした。残念ながら間一髪ランナーはセーフ。「こういう好プレーは審判、アウトにしなきゃあ」と星野さん。(私、星野さんらしいコメント、同感)

 試合はもう一つの頭脳プレーで決まった。2点を追うオーストラリア四回裏の攻撃。二死一、二塁からブライスがセンターへ大飛球。これをキューバの中堅タバレスが、フェンスに(打球が)当たった後なのに「捕球」をアピール。審判が認めて同点機を逃した。抗議したディーブル監督は退場となる。(私の感じた一言。とても難しいです、クルーでのサイン確認を怠ったとしか思えません、)今回は長島ジャパンを二度も破ったオーストラリアの強さが際だった。

 球審にはストライクゾーンに個人差は有ると思います、いや絶対有ります。選手はこれを前提「受け入れて」で野球をしている事をすごく感じました。私より何十倍も上手い、野球をなさる選手皆さんのジャッジを任されているわけですから、これに答えるには、一生懸命でやる、これしか答えがないように思いました。

 採点競技の方では相変わらず、審判団が採点を変えたり、訂正したりの醜態を演じています、森末元体操の総合金メダリストがテレビで怒っていました、「今の審判には、新しい技の開発、これに果敢に挑戦をする選手に、結果だけを採点をし、新しい技への開発、挑戦への加点がない」と嘆いて、これからの体操界を心配していました。日本のある二選手は種目別で絶対金の価値がある、と、眼を潤ませていました。

 野球での審判ジャッジは、オリンピックの野球でも、メジャーでも、日本のプロでも高校野球、草野球でも皆一緒、同じ土俵で議論が出来る幸せです。私の感じたオリンピックでした。


(2004年9月1日)


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