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2011年「選抜高校野球甲子園観戦記」
(上)


白 球 男 児  


 今年の選抜高校野球大会は、3月11日に起きた東日本大震災により、開催するかどうかについて3月18日に開かれた臨時委員会によって、予定通り開催されることになった。

 この臨時委員会の席で開会式の簡素化や、ナイター試合の回避を行うとともに、入場料の一部を義援金として被災地へ送ることなどが決められた。
 また、被災地の宮城県から出場する東北高校については、組合せ抽選を行わず、大会6日目の1回戦最後の試合に配置される特別な措置が講じられた。

 大会は3月23日〜4月3日までの12日間で、この間、雨などの影響を受けずに日程通りに大会は終了した。

 さて、私は選抜と選手権の2つの大会の観戦で、甲子園球場に通い始めて今年で9年目を迎えたことになる。

 一昨年までは羽田から伊丹空港、或いは神戸空港を利用して甲子園入りをしていたが、昨年から予約を必要としない新幹線利用に変更した。

 今年の第83回選抜大会の観戦は、3月27日の夜に大阪入りし、常宿としている梅田の「関西ホテル」に宿泊、28日の第1試合から30日の第3試合までの計9試合を観戦した。

 甲子園球場の高校野球観戦は、平成15年の春から欠かさず訪れていることになるが、スコアブックを記入しながらの観戦記録は、すでに100試合を超えている。

 この間に観戦した試合の中には、忘れることのできないいくつかの特筆すべき記録が残されている。

 平成16年3月26日(第76回・選抜大会)の1回戦、東北高校対熊本工業高校戦で、東北高校のダルビッシュ投手が、ノーヒットノーランの記録を達成し、2−0で熊本工業を破った試合で、2種類のスライダーとストレートを武器に10奪取三振を記録した試合。

 平成18年3月29日(第78回・選抜大会)の2回戦、早稲田実業対関西高校の試合は延長15回を戦い終えて7−7の同点で引分けとなり、翌30日に再試合が行われて、早稲田実業が4−3のスコアで苦戦しながらも勝利し、準々決勝戦へ駒を進めた試合。

 最後は平成18年8月17日(第88回・選手権大会)に行われた、帝京高校対智弁和歌山高校の準々決勝戦の試合で、最終回表の帝京高校の逆転で勝負は決まったかに見えたが、その裏に智弁和歌山高校が、奇跡の再逆転サヨナラ劇を演じた試合である。

 両チームで7本のホームランが乱れ飛ぶ乱打戦となった試合は、壮絶な戦いの記録として末永く、夏の大会の歴史に名を残すことになると思われる。
9回の表・裏の手に汗握る攻防は、試合後も、私を含めてスタンド全体が興奮状態に陥り、異様な空気に包まれたことを覚えている。

  帝 京 高 校  0 0 0 2 0 0 0 2 8   12
  智弁和歌山   0 3 0 3 0 0 2 0 5X   13

 一方、トラブルとして記憶に残っているのは、平成16年8月11日(第86回・選手権大会)に行われた1回戦の、宇都宮南高校対私立和歌山商業との試合で、スクイプレイが行われた際に、ベテランの桂球審としては珍しい勘違い?からか、判定が二転三転し混乱が生じた試合である。

 この試合のトラブルに関して、当時の新聞記事を引用する。

 ≪判定二転三転・球審「勘違い」球審が場内放送で謝罪する「珍事」があった。≫
 3回表1死三塁で、宇都宮南の打者がカウント0−1からスクイズをしたがファールチップ。三塁走者が三本間で挟殺された。だが球審の判定はファウルで、しかも打者の足が打者席から出ていたとの理由で反則打球と判定し、一度はアウトにした走者を三塁に戻し打者をアウトにした。

 しかし、審判本部からの指摘により、空振りの判定に訂正し、マイクを持って「打者のスクイズプレイは空振りでした。三・本間で挟殺された三塁走者はタッグアウトとします。私が明らかに勘違いをしました。すいません」と場内放送。

 三塁走者をアウトとして2死で走者なし、カウント1−1で試合は再開されたが、大勢には影響はなかったものの、球審の慌てぶりと潔さ?だけが目立つことになった。

 私は、この場面をバックネット裏から直接見ていたが、ベテラン審判らしくない誤った判断を繰り返し、大会本部からの指摘を受けて判定を訂正するというミスを犯してしまったが、同じ審判員として思わず溜息が洩れたことを思い出す。

 そして、今春の選抜大会の観戦であるが、3日間9試合の中で草野球でも滅多に見ることができないと思われる珍?プレイを、いくつも目撃することになる。

 場内放送も3つという過去の観戦では例を見ない光景に遭遇し、大変実りの多い今春の甲子園への観戦旅行となった。

 (つづく)


(2011年4月15日)




選抜大会


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