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信州松本、高校野球審判体験記(2)


#47 Ump.


   今日の試合会場は1876年(明治9年)に第十七番中学変則学校として開校され、1935年(昭和7年)に現在地に移転した松本深志高校野球部グラウンド。周りは民家と道路に囲まれている。右翼は少々狭いが広さは充分。

松本深志高校のグラウンド

   

 今日は選手権大会前の最後の試合だそうな。相手は昨日の創造学園高校とのWヘッダー。

 一試合目はK君友人のTさんがマスクを被り筆者が一塁、Mさんが三塁へ入り3人制で行った。K君がTさんにストライクスリー・ノーキャッチのときには「Strike Three!No Catch!No Catch!」と両手を広げ、捕手が打者にタグしたら左手で打者をポイントし「 On the tag. He’s out!」とアドバイス。そして、Mさんには「切れのあるメカニックを」と進言していた。

 二試合目は四人制で試合を進めた。「審判が四人いると、動きがすごく楽なのがよく解りますネ」と皆感心したようだ。

 この試合、K君がマスクを被り独特のニーズ・スタイルと派手なストライク・スリー・コールのオンパレード。最後の三イニングは基本のボックスで構え、ストライク・スリーは違った形の弓引きメカニック。K君の多種多彩なプレート裁きに感嘆。

 観ている両チームの選手諸君そして多くの父母はどう思ったのだろうか?K君、ちょっと気になったようである。

 因みに、今年の甲子園を目指した各県予選大会で、栃木県大田原高校は3回戦で宇都宮北高校に5‐6で惜敗。長野県松本深志高校は3回戦で、創造学園高校と伊那弥生ヶ丘高校共に4回戦で残念ながら敗退。3年生の暑く、熱かった夏が終わり、大望は次代に引き継がれることになった。

閑話休題
 試合後、1933年(昭和5年)に竣工された松本深志高校本館校舎内を部長先生の案内で見学。アーチ型の玄関や廊下の形状は校舎が造られた時代にはハイカラで、西洋を身近に感じたのかもしれないと思いをめぐらした。


松本深志高校の正面玄関のアーチ型の入口

   

 会議室の机、椅子なども当時の雰囲気のまま残されている。2003年に国の登録有形文化財に指定。


本館のアーチ型形状の廊下

   

 ちなみに、松本中学校(現松本深志高等学校)では1887年(明治20年)頃にはベースボールが冬のスポーツとして行われていたと伝えられている。


松本中学校にベースボールを伝えた初代校長、小林有也氏

   

 野球伝来が1972年(明治5年)であるから比較的早くに野球が行われたようである。松本中学校初代校長の小林有也が東京・神田錦町の第一大学第一番中学(現東京大学の前身)在学中に野球伝道者のホーレス・ウイルソンから指南を受け伝えたとされる。


東京・神田錦町の開成中学校(現学士会館)に建てられた「日本野球発祥の地碑」

   

 そして松本中学校に本格的な野球部(現松本深志高等学校野球部)が創設されたのは1896年(明治29)と記されている。

 しかし、戦争のあおりで1941年(昭和16年)に野球部廃止。第二次世界大戦が終結した1945年(昭和20年)に復活。

 そして、1947年(昭和22年)8月4日、夏の中学校野球信越大会決勝戦で松本市立中学を4−2で下し、ついに念願の甲子園(第29回全国中等学校野球大会)出場の夢を果たしたのである。

 初戦の二回戦で千葉、成田中学と対戦。松本中学の先発、萩元が不調で二回表に6点を先取された。一方、打線は成田中学、石原投手のファスト・ボールに手こずり散発三安打に抑え込まれ10−0で完敗を喫したのである。


甲子園で入場行進する松本中学校ナイン

   

 松本深志高校には吉田茂内閣で官房長官を務めた増田甲子七、「何となくクリスタル」で名を馳せた元長野県知事、衆議院議員の田中康夫、昭和30年から40年の10年に亙り巨人軍で活躍した土屋正孝等が卒業生でいる。

 こんな歴史を持つ松本深志高等学校(野球部)である。ガンバレ!!
※以上「松本中学校・松本深志高校 野球部の一世紀」から抜粋(敬称略)
    写真の一部も抜粋転載。
                            閑話休題了

 そして、筆者にとって三回目の開智学校見学。


開智学校の正門

   

 当時の授業風景、学校生活、そして生徒達や先生方の歓声が今にも聞こえてきそうである。
元は女鳥羽川の南岸にあったそうだが、川の度々の氾濫で移転。その時に校舎の一部を現地に移設、公開しているそうだ。


開智学校の教室

   

 わりに近しい前時代の文化、風習、人間模様に触れることは楽しくもあり、興味深いことと筆者は感じている。もちろん、野球の歴史もそれに匹敵する。

 「Ball」は投手への勧告。そして「Strike」は打者への勧告と命令。「ボール!どうして打者の打ちやすいボールを投げないんだ」「ストライク!(打て!)良い球を何で打たないか!バッター」

 こんな意味合いからベースボール(野球)は打つこと優先。守ってばかりでは得点できません。それに、打たなければ相手より多く得点し勝てませんネ。
 それが野球の原点ですゾ。

 野球は観るのもよし、プレーするのもよし、裁くのもよし、そして語るもまたよし。 Have more fun! そんなことを感じながら松本、鹿教湯二日間の滞在記を終えることにする。

 いや〜ァ、馬刺し美味かった! そして冷えひえのトリスのハイボールも最高!

 Thanks, join at me and have more fun!


(終わり)平成25年8月15日(木)


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