審判員の 背中 背中画像
□□ 臼井淳一審判員 □□


【7】 あぁ東京砂漠
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 砂嵐と強風の中で野球をやったことがある人は多いと思います。一番辛いのは捕手と球審です。特に球審は交代がありませんので大変です。

 先日「強風・砂嵐」の中で球審と塁審をおこないました。なぜ砂嵐かといいますと、4時間のプレーの間、2時間は「砂嵐タイム」でした。塁審から見ていますと打者、捕手、球審の3人が一瞬、見えなくなるほど凄い砂嵐なのです。
 
「ピッチャー投げました」。すべてが見えません。球審は「ストライク」とコールをしました。こんな場面が何回もありました。もちろん散水はしましたが「砂漠に水?」です。それと強風で肝心なところに水が届きません。(普段は最高に良いグランドなのです)。

 試合の終わった球審の顔は、眼の涙に砂がついて、眼の回りが真っ黒です。それも「丸く」つくものですから「パンダ」のよう顔になってしまいした。

 私も球審をやりました。両眼を開けておきますと、両方の眼に砂が入ります。そこで右眼、左眼を交合に使い分けいたしました。外野フライは眼で追わなくてはなりません。大きく見開いた眼には容赦なく砂が打ちそそがれます。
 
 2人制審判ですので、外野へのボールはすべて「相棒」にお任せいたしました。この試合ほど「相棒」の有難味が分かった試合はありませんでした。

 身体を4時間も砂に打ち続けられますと、どういう現象が起こるのか、新たな「発見」をいたしました。翌日も眼の中の「ゴロゴロ痛み」は取れません。それに全身がなんともいえぬ「虚脱感」みたいな重い疲労を感じました。「砂漠の砂嵐で遭難」するという意味が実感として分かりました。

 この一週間は「雪中の審判」「雨中の審判」「砂嵐中の審判」と3つも体験してしまいました。残るは最も怖い「雷(カミナリ)中の審判」です。この審判は、金属バットをもった「避雷針選手」がいますから、それほど「心配」していません。が、できることなら審判はやりたくありません。
 
 おっと「地震の審判」を忘れていました。おそらくバックネットの下敷きになり、「一巻の終わり」となるのでしょう。いや、はや。野球の審判は本当に「好き」でないとできません。


(2004年4月1日)


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