審判員の 背中 背中画像
□□ 臼井淳一審判員 □□


【10】 タイムはタイミングよく?
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 7回の裏。スコアー2対2。1アウト満塁。ピッチャーはセットに入りました。ここで攻撃側のベンチから「サインの確認タイム」。再度プレーをかけると、また攻撃側からのサインの確認タイム。
 球審の私は「いい加減にしなさい。審判も投手も集中力が切れるのだ」と思わず怒鳴ってしまいました。

 そうなのです。この場面は攻撃側、守備側ともに「集中力」を注ぐ大切な場面なのです。また、審判員もこの場面はもっとも「集中」しないといけないのです。この場面での「ミスジャッジ」は許されないのです。全神経を「野球」だけに注ぐのです。

 ということは、他の「回」は全神経を「野球」に注いでいない。ということになります。まぁ、言わせていただければ、全イニング全神経を使っていたのでは、逆にミスジャッジをしてしまうのです。選手もそうですが、審判員も緊張とリラックスを交互に使い分けます。

 試合がだらけてしまいますと、心地良い「緊張感」がなくなり、頭の中は野球からだんだん離れていきます。それでも「最終回」はなんとか盛り上げようと気持ちを高ぶらせます。こういう試合に限って最終回に得点が入り、終わってみれば14対15で逆転サヨナラ勝ち。点数はすべて4球とエラー。勝ったチームは「はしゃいで」います。審判員は「お疲れさま」だけが残る試合です。

 さて、話を元に戻します。この「サイン確認タイム」ですが、何事もタイミングです。投手がセットに入ってからではいけません。それも2度もやっては最悪です。
 球審の私は、選手を怒鳴った勢いで、さらに「集中力」を高め、万全の「体制」を整えてこの場面に挑みます。

 攻撃側の結果はピッチャーゴロで1‐2‐3のダブルプレーで得点をすることはできませんでした。打者は2回のタイムによって、「集中力の回復」に時間がかかり、「緊張感」だけになってしまいました。

 そして、私はスコアーボートに「0」を書き込む時には、この回の「出来事」はすっかり忘れています。

 試合の結果は引き分け「ナイスゲームでした。それではゲームセット」。
 心地良い風が、私の頭を冷やしてくれます。「今晩のビールは旨いぞー」。
 おっと「審判マスク」を忘れないように……。


5月12日にサタデーリーグ協力審判団主催「2人制審判講習会」を元パ・リーグ審判員・UDC代表 平林 岳氏を講師に迎えておこないました。次回はこの模様を写真入りでお伝えいたします。

(2004年5月15日)


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