(5) 一人制審判の抜け穴
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 最近、二人制審判でこういうプレーがありました。

 走者1塁、3塁。ノーアウトです。打者は一塁方向へファールフライを打ち上げました。ヒットエンドランがかかっていたのか一塁走者は飛び出してダブルプレーになりました。このダブルプレーの判定は塁審が行ないました。

 ここまではよくあるパターンです。問題は三塁走者がいったん飛び出し、塁へ戻ったかのようにしてホームを陥れました。一塁手はあわてて暴投を投げてセーフ。

 守備側から「タッチアップしていない」というアッピールがありました。球審・塁審と協議の結果、3塁走者がリタッチをしていないということでアウトの決着をつけました。

 もちろん攻撃側から「一塁へボールが転送されて時点でタッチアップをしている」というアッピールがありました。

 審判の「反省会」で球審が3塁の離塁をしっかり確認していませんでした。まさか3塁走者が走ってくるとは思っていなかったのです。また、同じプレーを2人で見ていたのです。二人制審判でも確認を怠ることがあるのです。

 あるはずがないプレーのために審判員が存在するのです。特に3塁へ走者がいた場合はいろいろなプレーが想定されます。「想定外」では済まされないのが審判員なのです。

 仮にこのプレーの判定を一人制審判で行った場合、3塁のリタッチの確認は80パーセント出来ないと思います。

 残り20パーセントの確率は、フライが上がった時点で3塁方向へ角度を取り、右眼でダブルプレーを判定して、左眼で3塁のリタッチを確認する以外ありません。

 そして1塁手からの送球のタッチプレーは、後ろから追うようにして見るしかありません。また、ここで「もめる」かもしれません。

 野球は点取りゲームです。ホームで「もめる」ことは最悪なことなのです。

 特に一人制審判は「想定外の出来事」を瞬時に判定する能力が要求されます。たとえルール上で判らなくても「白・黒」をつける必要があるのです。

 抗議・アッピールに5人も6人も出てきましたら、「監督以外は引っ込め」このくらいの迫力がないとやっていけません。

 それでは選手の「攻撃側審判」ではなぜ「もめごと」が少ないかといいますと、審判の素人がやっていますので「まぁ、まぁで収まって」しまうのです。時々見学しておりまして、ルールの適用が全く違っている事があります。

 けれどもこれはこれでいいのです。なぜかと言いますと試合進行の中で「アッピール」がなければ、審判の判定は最終裁定だからです。

 一人制審判でも間違ってルールを覚えている人がいます。野球のルールは意外と「一般社会常識」と似ております。

 例えば「ボールが飛んでくるところにわざわざ急に止まった」これは守備妨害です。スムーズに車が流れているのに「急ブレーキ」をかければ事故が起きます。交通ルールと同じことです。

 とくに難しいプレーほど「社会常識」を適用すれば、意外と野球規則通りに解決できます。

 タッチしたかどうかわからなければ、選手に聞けばいいのです。無理して一人ですべてを完璧にやる必要はありません。また出来ません。

 選手に聞くこと。恥ではありません。一人制審判の抜け穴です。


(2006年7月1日)

(注・選手の皆様に分かりやすいように普段使っています野球用語であえて書いています)


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