(9) 一人審判員の「ノーボイス」
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 皆様ご存知のようにフェアの場合は「ノーボイス」で審判員はフェアーテリトリーを無言でポイントするジェスチャーをするだけです。

 私は最近、一人制審判の場合には「ノーボイス」を時々やらないようにしています。もちろん「フェア」とはコールしません。

 特に外野両翼線上のきわどいボールに対しては、ポイントするジェスチャーをしながら「入った!」「入っている!」と声を出すように変えました。

 ただし「大声」を出してはいけません。打者、捕手、ベンチに聞こえる程度の声です。それも外野へ飛んだ打球だけです。

 内野へのきわどい打球は、審判員のジェスチャーでベンチも含め全員が分かりますのでノーボイスです。ところが外野の打球は飛んだ打球を見てから、審判員のジェスチャーを確認しなければなりません。

「ノーボイス」はフェアですが、一人制審判の場合は両翼線上のきわどい判定には「しっかり見ていた」というアッピールが必要だと思います。また、ランナーをかかえている状況では「フェア」の「ノーボイス」のジェスチャーが弱くなる場合もあります。

 その時に「入った!」「入っている!」と声を出すことは、ブレーの判定にとても説得力が出てきます。

 ただし複数審判員で「入った!」「入っている!」と声を出すことは、相棒が混乱するのでやりません。実はこれを二人制審判で試してみようと密かに思っています。


 20年前の古い話で申し訳ないのですが、ある区大会の1部決勝戦の出来事です。私は観衆としてバックネット裏で見ていました。3人制審判です。状況はノーアウト、ランナー2塁、3塁でライト線上にゴロを打ちました。1塁の塁審は2塁寄りにいますので、この打球の判定は球審がいたします。

 河川敷グランドですが白線が長くきちんと引かれていました。この試合に勝てば「都大会」に出場できる大切な試合です。

 ライト線上にゴロは明らかな「ファール」でした。ところが球審は「フェア」と宣告しました。バッターもファールだと思い走ろうとはしませんでした。

 攻撃側からは猛烈な抗議がありましたが、その間プレーは続けられ2者がホームインしました。

 決勝戦ですから大勢の観衆と関係者が集まっていました。口々に「ファール」と叫んでいました。結論は、判定は覆りませんでした。もちろん審判団も協議していました。

 結局「放棄試合」となり、放棄試合をしたことによりこのチームは来年から4部へ落とされると審判団から「勧告」されていました。

 私はとても後味の悪い試合を見てしまい。「放棄試合」をしたチームにも、審判員の方にも同情をしてしまいました。

 一人制審判をやっていまして「相棒がいたら相談したい」という場面が時々あります。特に「勝負どころ」の場面などではミスが許されませんが、ミスをしたことにより勝っていたチームが負けたような時にはガックリきます。

 このようにミスをしたときには一晩中眠れない時があります。

 おそらく「放棄試合」をされた球審の方は、眠れない日が続くでしょう。

 一人制審判であろうが複数審判であろうが、審判員にとってミスジャッジは心を痛めなければいけません。また、心を痛めたことにより次の成長があるのです。


(2006年9月1日)


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