(12) 一人審判あれこれ
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 一人審判でグランドへ着いた時には、まず依頼チームより先に対戦相手に挨拶します。チーム状況なども聞く場合があります。

 なぜ対戦相手に先に挨拶をするのかといえば、審判員は公平でなければいけません。依頼チームは私が来ることを知っています。

 よく依頼チームとべったり話をしている審判員を見かけますが、これは対戦チームから見ますと気分がよくありません。試合に入る前から「仲良く」しているように感じるからです。

 幸い私が両チームとも知っていますと、お互い初対決の場合は両チームを引き合わせ「仲人役」もいたします。

 試合の終わりにも「気」を使います。依頼チームが負けた場合は両チームに公平に「一声」かけて帰ります。

 問題は、依頼チームが逆転サヨナラ試合などをした場合、そのときは、対戦相手に「声」をかけて、依頼チームには一声もかけずにスーッといなくなります。

 逆転サヨナラで興奮している依頼チームに審判員が「べちゃくちゃ」と話しかけることは、負けてガックリしているチームには面白くありません。いくらジャッジを公平にやっても、負けたチームは疑心暗鬼になります。

 一人審判員は一人という気楽さから時々軌道を外しがちになります。これが複数審判ですとお互いに心地良い「緊張感」の中でゲームに没頭することができます。

 とくに二人制審判では、たとえ責任範囲が塁審にあっても、球審からの位置が良い場合があります。そのときお互いに目線とシグナルを交わします。そして球審がジャッジし、選手から「あの位置は球審だ」などと声がかかりますと、
「うーん。このチームは審判を理解している」と思い、よりハッスルいたします。

 ところが一人審判ですと、一塁でのアウト、セーフにしても、3塁走者がいなければ、走って行って、いいポジションで正確に判定できたのにと思う時があります。

 特にネット大会のAクラスの試合は、一人審判の限界を感じることがあります。このクラスの試合は1点勝負です。7回裏表0−0という試合もあります。時間がある場合は延長戦に入ります。試合が終了したあとは神経が高ぶり、精神状態を正常に戻すのに時間がかかります。一人審判員に「忘れ物」が多いのも神経の高ぶりから来ております。

「一人制審判の死角」ということで書いていますが、審判は何人でやっても死角は出ます。けれど一人制審判は死角があまりにも多いということです。ベンチからよく見えていても審判員から見えないのです。

 先日もこんなプレーがありました。走者2塁、2アウトです。ライト前へポトリと落ちるヒットです。2塁走者はホームで間一髪アウトになりました。
 走者は「審判さん、3塁手の走塁妨害あったよ」と言ってきました。

 審判は打球を追い、ライトから送球を見ます。そしてホームでのプレーに備えます。もし走者と3塁手が「ドーン」とぶつかりましたら確認はできますが、それ以外の走塁妨害は見ることが出来ません。

 この場合は、二人制審判でしたら、3塁の触塁を確認することが出来ますので、3塁の塁上での走者を妨げるような行為の走塁妨害を見ることが出来ます。

 特にスピードのあるチームのプレーは一人制審判では対応できないということです。

 一人審判を解っているチームは「仕方がないか」と言います。そうなのです。一人制審判は「仕方がない」ジャッジがあるということです。一人制審判にあれこれ「要求」することは無理な場合もあるのです。

公認野球規則 1・01「野球は、一人ないし数人の審判員のもとに、行なわれる競技である」(途中略)と明記してあります。

 競技には判定が必要です。そのための審判員です。判定は一人より複数の方が正確に行なえます。

 チームの皆様、選手の皆様 「一人制審判」の試合には「こんなこと」を頭の片隅においてプレーしてください。


(2006年10月15日)


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