(19) 一人制審判と二人制
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 先日以下のようなメールをいただきました。(掲載承諾済み)

『2人制審判での御配慮を大変感謝しております。また、7回表裏で0-0引分け後、9回表裏まで2時間 お付き合い頂きました。

 試合の感想ですが、当チーム1塁走者が2塁へ盗塁、判定はセーフ。私と当チームメンバーの意見は「1人制であれば、タイミング判断でアウトだった」。草野球といえども1球、ワンプレーが勝敗に大きく作用します。メンバー一同、考えさせられたワンプレーでした。

 当チームは14チームが所属する私設リーグに参加していますが、予算の都合上、3人制の持回りチームで審判を運営しています。よって、微妙なクロスプレーでは判定をめぐってトラブルもあったと報告を受けています。
 今期からプレーオフ制度が導入されることもあり、重要な位置づけの試合については公式審判員の2人制審判の依頼が必要な時期に来ているのかもしれません。』


 私たちはこの時期(1月)は一人制審判の依頼でも、審判員のトレーニングを兼ねまして、「押しかけ二人制審判」を行なっています。

 一人よりは二人という審判ではなく、二人制のメカニックが分かりませんと、二人制審判の意味がありません。

 山口氏が書かれています「二人制審判の教本」を熟読して、さらに「二人制の講習会」に参加して二人制審判を勉強しています。
 もちろんこれだけではマスターできません。実践の積み重ねが何よりも重要であります。

 先日も下記のようなシビアな審判を二人制で行ないました。


1部2部の入れ替え戦 球審・松谷、塁審・臼井

Aチーム(2部) 0000100 1
Bチーム(1部) 000111× 3

評)「まるで優勝決定戦みたいだね」という声がベンチ内で上がったほど、気合の入った入れ替え戦でした。どちらが勝ってもおかしくない好ゲームでしたが、何とかは1部に残ることができました。(Bチーム監督)


 この試合「評」にも書かれていますように、最後まで緊張した試合内容でした。試合が終わり球審の松谷審判員の話を聞きました。
「ストライク、ボールをいかに同じに取るかに神経を使いました」

 当たり前のように感じますが、球審の大切な要素です。
 一人制審判はご存知のようにすべてを判定しなくてはなりません。とくに走者がいる場合には「二つの眼」はボール、ストライクの判定に80%、走者に20%の割合に眼が行ってしまいます。

 この試合は各塁でのクロスプレーはありませんでした。けれど松谷球審は塁審がいることにより「二つの眼」を100%ボールに集中することが出来ました。

 二人制のメカニックを少し生かした場面もありました。
 1塁ベース前でバウンドが大きく変化して、ファール地域にボールはそれました。一塁ベースの手前なので「フェー」「ファール」の判定は球審の仕事です。

 松谷球審から少し見にくい角度となりました。1塁塁審の私はよく見えましたので、無言で球審の目を見ながら「ファール」のサインを送りました。それを確認して球審は大きな声で「ファール」。私もそれに同調して無言で「ファール」のゼスチャーをしました。両チームとも納得です。

 あとでこの件について松谷球審はこんなことを言っていました。
「あれは助かりました。私からはとても見にくい角度でした」

 ラグビー大学日本一を決める「早稲田対関東学院」のレフリーは反則を取るのではなく、選手達に状況に応じて、反則を「しないよう・しないよう」に試合を進めていました。
 同じ「裁く」審判員としてとても考えさせられるものがありました。


(2007年2月1日)


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