スポーツに吹く風
スポーツジャーナリスト 泉 准也


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 ■9 プロ野球の試合もエコ

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 今シーズン、プロ野球の試合時間が短くなっている。これまでテレビ観戦では試合終了前に「残念ですが、放送時間がなくなりました。試合結果はこのあとの番組でお伝えします」。こう言って、終盤の決着シーンを見られないまま放送が打ち切られてきた。
 それが今年は違う。延長戦を除き、中継時間枠に合わせるかのようにほとんどの試合が幕切れを迎える。
 地球温暖化防止を意識した「試合時間マイナス6%」を目標に、二酸化炭素を削減しようと球界が取り組んだプロジェクトに成果が出ている。

 日本プロ野球コミッショナーの長谷川事務局長によれば、過去十年間の試合時間は平均三時間十八分。これを三時間六分に短縮しようと、選手や審判など球界を挙げての取り組みが実っている。
 「セ、パとも効果が出ている。同時期で比較すると、セは昨年より四分、パは八分も短縮されている。この十年間で試合時間は最短」

 攻守交代は二分十五秒以内、投手交代は三分四十五秒以内。こうした目安は過去にもあったが、今年からスコアボードに計測時間が表示されるようになり、選手はもちろん、観客の目にも入る。
 「選手も時間短縮を意識し協力している。打者も早々に打席に入るしね。実際に人の目に触れる策を講じたのがよかったのでは」(あるスポーツジャーナリスト)
 一秒過ぎたらペナルティーという罰則はない。選手によって事情が違うこともあるので、審判も意識して進めるということにとどまる。
 しかし、「球界全体で取り組んでいることなので、時間短縮の意識は持っています」(日本ハムのダルビッシュ有投手)。
 今後、試合内容などにどのような影響が出るか、それも興味深い。


(「損保のなかま」2008年6月1日付より)


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