スポーツに吹く風
スポーツジャーナリスト 泉 准也


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 ■17 女子プロゴルフの危機

イラスト

 08年、史上最年少で獲得賞金一億円を突破した男子プロゴルファーの石川遼(17歳)。
 ヤンキース・松井秀喜選手と親しい関係者は「遼くんには華がある」と語り、松井のデビュー当時をほうふつさせる「本物のスター」だと絶賛する。

 昨年末発表された男子ゴルフの世界ランキングで、石川遼は60位にランクされたものの、50位以内に与えられるマスターズゴルフトーナメント(米国、4月)への出場権は逃したが、その後招待されることになり、タイガー・ウッズらスーパースターとともにプレーすることが実現した。
 石川遼はもはや日本のスーパースターだ。彼が出場する大会はいずれも観客が5千人以上押しかける。入場料だけで大会賞金をねん出できるほど、遼くん効果は大きい。

 一方、男子に比べて女子ツアーは大ピンチに陥っている。
 今年は大会が3つ減り、下部ツアーは14から5に激減する。大不況がゴルフ界を襲い、スポンサーが降板したのが最大要因である。
 もう一つ、宮里藍や上田桃子ら華のあるトッププレーヤーが海外に出たため、国内大会での観客激減が響いた。
 女子のゴルフ大会は賞金が安く、「客を呼べて、しかも勝てるプロ」が何人もいるので、費用対効果が大きいとされ、03年ごろから大会が増えた。
 だが、国内に華のある選手が不在で、残った日本人選手は強い韓国勢に押され、その上、遼くんの大ブレークときては、観客が男子ツアーに流れるのは自明だ。
 スポンサーは実績もさることながら、イメージを優先する。女子ツアーが盛り返すには、ハニカミ王子を超えるお姫様スターを待つしかない状況だ。


(「損保のなかま」2009年2月1日付より)


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