「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ


 ■2…巨人の魅力
   スター・有名・強さが人気の秘密?

 巨人ファンが感じている「巨人の魅力」はなんだろうか。
 「調査」への回答のトップ3は、(1)スターがいるから(2)有名だから?強いから、であった。その合計は回答全体の80%を遥かに超えた。それに対して他球団ファンが感じている支持球団の魅力はバラバラである。わずかに「地元球団」であることが共通項だが、それも三〜四人に一人が挙げているに過ぎない。支持球団の魅力・好きになった理由に関しては、巨人ファンと他球団ファンの間にほとんど共通するものがないのである。

巨人にはスターがいるから
ファンが多いのだろうか? 
 では、この回答から、巨人ファンが多数派を形成している説明として、巨人の「スター性・有名性・強さ」を指摘すればいいということになるのだろうか。ことはそれほど単純ではない。
 第一、スターとか、有名という概念はファンがそれぞれ自らの世界の中だけで作り出すものである。たとえば、阪神ファンにとっては阪神の選手こそスターであるし、広島の主力選手は、たとえ東京ではあまり知られていないとしても広島ファンにとっては有名な選手かも知れない。強さの評価も同様だ。優勝回数で計ればいいのか、それとも他の方法があるのか。それもプロ野球六十年の歴史の中で計るのか、昨年の成績を基準にするのか。いずれにせよ、それら三要素を独立変数とし、「巨人ファンが多数派」という従属変数を得ることには無理がある。
 しかも、次号以下で詳しく記述することになるが、巨人ファンを特徴づけることの一つに、彼(彼女)らは「幼児期にファンになった」という興味深い事実があり、実は、そのことが、人は決して「スター性・有名性・強さ」の認識から巨人ファンになるのではない、ということを証明するのである。
 「調査」では支持する球団のファンになった時期を質問した。回答の選択肢は「物心ついた頃」「小学生の頃」「中学生の頃」「高校生の頃」「大学生以降」の五つ。結果は、巨人ファンと他球団ファンの間で明確に異なった回答傾向が示された。巨人ファンの70%以上が「物心ついた頃」「小学生の頃」、すなわち幼児期にファンになっているのに対して、他球団ファンは相対的にファンになる年代が高い。
 すなわち、巨人ファンは、スター・有名・強さなどについて理解可能な年齢プロセスを踏んでいない。
 したがって、この三要素は、人が巨人ファンになる理由ではなく、巨人ファンであることを後付ける理由であるというべきだろう。

(「損保のなかま」2002年5月1日号より転載)


▲「巨人ファン大研究」目次ページへ

「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ