(16)旅の恥はガックリこない(その1)
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「新幹線で博多まで窓ぎわのキップを2枚ください」

 駅員さん「お二人でしょう?」
「向かい合わせで窓ぎわがいいのです」

 わたしの頭の中は横須賀線の固定された4人掛けの座席が浮かんでいました。5時間も乗っていたのでは向かい合わせで「窓ぎわ」がいいに決まっていると思いました。

 新幹線には2度しか乗ったことがありません。それもキップを買うのは今回で二度目であります。初めて買ったときに「禁煙席」「喫煙席」を間違えてしまい東京から京都まで煙に悩まされました。

「窓ぎわ二枚」の話は全国的に知れ渡る恐れがあります。

 こうして友人E氏との「旅の恥はガックリこない」が始まりました。

 今回の旅行は、二人の共通の友人であります九州・長崎にお住いのKさん宅に「一大決心」をして行くことになりました。

 E氏もわたしも西は京都までしか行ったことがありません。九州は二人にとっては未開の地であります。

 それでは5泊6日の、九州「珍道中」の模様をご覧ください。先ずは新横浜から佐世保までの車中での会話からスタート。

「九州は6県だろう?」
「違う、違う、北九州を入れて7県だ」

「帰りはKさんが寝台特急取ってくれたけど、やっぱり新幹線かねー」
「うーん。5時間も乗るから新幹線だろう」

「いや。10時間だよ」
「ゆっくり走るだろう」

 うしろの座席から女性の忍び笑いが聞こえてきました。



寝台特急・はやぶさで仲良くなった熊本の九州男子とEさん


「九州には熊がいないって本当かね?」
「昔、昔、熊本県の人が全部食べてしまったらしいよ」

「あぁ、関門トンネルだ」
「新幹線は全線が関門トンネルみたいだよ」

「おい、まだ岡山だよ」
「岡山と京都はどっちが九州に近いの?」

 寝ていたサラリーマン氏が起き出して不思議な顔をしてわたし達を見ていました。

 こんな会話をしていますと、あぁという間に博多に着いてしまいました。まぁ、酔って山手線を二周した時間帯に感じました。

 今度は博多の駅員さんとの会話が始まりました。
「佐世保に行くのには何番線に行けばいいのですか」
「したに降りてください」
「したってことはないでしょう。貴方は駅員でしょう。何番線か教えてよ」

 結局、三人の駅員さんに聞き、4番線ホームにたどり着きました。ここでも混乱は続きます。
 ホームの前方に並んでいましたら、なんと前の車両は長崎行きで、後ろが佐世保行きだということが判明しました。あぁ時間が迫ってくるではありませんか。

 佐世保駅に来てくれるKさんの携帯に「抗議」の電話をしました。
「博多の駅員は不親切バイ。佐世保に行くことを隠して教えてくれなかとバイ。これでよかとバイ」。
 と大きな声でどなってしまいました。周りの人はビックリしてわたし達を見ています。

 列車は有田という駅に止まりました。看板を見ながら。
「これが有名な有田壷か」
「有田窯って読むではないの」

「壷も窯も字がよく似ているなぁー」
「まぁ。同じようなものだ」

 女子高校生がハンカチで笑いをこらえてどこかに行ってしまいました。

 なんやかんやで佐世保に到着をいたしました。Kさんと改札口で再会しました。

Eさん「九州は夕方の5時を過ぎているのに昼間みたいに明るいねー」
Kさん「Eさん。時計の針を3時間戻したの?」
Eさん「えッ、九州は時差があるの?!」
Uさん「3時間も儲かちゃたね!」

 そして三人は白夜の佐世保歓楽街へと消えて行きました。

 旅の恥はガックリこない(その1)はこのへんで。つづく。


(2007年3月15日)



次回・西海国立公園九十九島(くじゅくしま)200以上の島々があるのですが、あまり多いので九十九島にした「ばってん」。





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