思うがまま…

臼井淳一
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(7)秋の夜は長いです

 わたしは毎週のように図書館に本を借りに行きます。もっぱら歴史小説です。なかでも池波正太郎の「剣客商売シリーズ」「仕掛人・藤枝梅安シリーズ」が大好きです。

 本を読むスピードはとても速いです。文庫本で350ページぐらいですと2日で読んでしまいます。それもパソコンの前で「しながら読書」です。こんな具合に本を読むのですから、何回も同じ本を借りてしまいます。

 他の作家の本は2〜3ページ読んで初めて一度読んだ事がわかり読むのをやめます。不思議なことに池波正太郎の本は何度よんでも面白いのです。

 特に秋山小兵衛、藤枝梅安とは思わず時間を忘れて深夜まで付き合ってしまいます。

 江戸時代の「料理」を美味しそうに描いている場面には、「うーん、大根、ネギと小魚(キビナゴ)はこんな取り合わせで食べるとのか」と思い、よだれが出てきてしまいます。

 鍼灸医・藤枝梅安はお金がない庶民にも一生懸命に治療をします。そして「闇の稼業」の殺しの鮮やかさにはぐいぐいと引き込まれていきます。

 主人公の秋山小兵衛、藤枝梅安の共通点は「お金があること」「腕っ節が強いこと」「女にもてること」「庶民の味方であること」。誰もが一度は憧れる主人公です。
 
 とくに「庶民の味方であること」は秋山小兵衛、藤枝梅安ともさりげなく、お金を渡す場面などは「あぁ。一度でいいから真似してみたい」と思います。

「まぁ。すくねえが、子どもにみやげでも……」
「だ、だんな30両もいただいて……」
「まぁ、いいってことよ……」
「心を入れ替えて女房・子ども大事にします……」
 平吉は、秋山小兵衛、藤枝梅安が去っていく後ろ姿に両手を添えてひざまずくのであった。

 うーん。こんな小説が書けたら最高ですね。

 まぁ、書くのは80歳を過ぎても書けるので期待してください。「しながら読書」なので、白石一郎「横浜異人街事件帖」の続きを読みます。

 白石一郎も大好きな作家です。「十時半睡事件帖」などは、とぼけた主人公に共感を覚えます。一連の「海賊小説」は歴史・史実をたんねんに調べ書かれたものです。読んでいて楽しいのです。

「読書の秋」という言葉は最近の本離れで死語になっています。わたしなどは一年中が「読書の秋」です。そのために眼に好い「ブルーベリー」を一日に二錠も飲んでいます。目がパッチリです。ブルーベリーは本を買ったと思ったら安いものです。

 本の読み方は「しながら読書」が一番です。机の上で何時間も読むのはかえって集中できません。20分読んでは別のことをやり、ちょっとした時間の合間に読むのが最高にいいです。

 本当のところは20分も読みますと両まぶたがチカチカして眠くなってくるのです。ここで30分眠ることにします。

 こうして「★思うがまま……」を書くのも読書の合間です。合間の時間をいかに有効に使用するかで無駄な時間が多くなり、その間はボーッとしていられるのです。

 ボーッとした時間が多くなればなるほど「合間の時間」が生き生きしてくるのです。残された人生は長くなりそうです。脳がいつまでも新鮮さを失わないように手当たり次第に本を読みたいと思います。

 株で2億円が儲かりました。図書館の本を建物ごと買い占めます。

「残りの5千万円お子さんのみやげにしてください……」
「だ、だんな今日は一文もありませんよ……」
「バカ。素人が株に手を出すな。太郎&一郎の策略に気をつけろ」
 秋山小兵衛、藤枝梅安、十時半睡 曰く(いわく)。

 さて。次は何を読むか。秋の夜は長いです。


(2008年11月1日)



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