思うがまま…

臼井淳一
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(19)格差社会とめでたいこと

 総選挙で自民党が政権を失いなんとなくホッとしています。それにしましても日本人は我慢強いと思います。50年近い「悪政」によく我慢したものです。いや我慢させられたのです。

 自民党は格差社会を少しずつ作り出してきました。格差社会をさらに固定化させたのは小泉政権です。そして「中間層」といわれる人の中にもテント生活を余儀なくされてしまいました。

 格差社会の固定化ほど怖いものはありません。このまま自民党の悪政が続いたならば10年後は日本中の河川敷は青や黄色のテントで埋まると思います。
北アルプス・涸沢テント村を想いだしてください。違いは家庭破壊と青春の想い出です。

 構造改革と称して、規制緩和・民営化、年金改悪等々。よくもまぁやりたいことをやってくれました。小泉政権は「悪政ナンバー1」です。そして「だまし逃げナンバー1」ではないでしょうか。とくに「だまし」は巧妙で悪質でした。

わたしはあの「ライオン髪」と「きつね顔」を見たとたん「この人にはだまされないぞ」と固く心に誓ったことを思い出しました。そのヒントはグリム童話「おおかみと あかずきんちゃん」でした。

 貧乏人とお金持ちは昔から分けられていましたが、貧乏人が這い上がれるチャンスはいくらでもありました。

 田中角栄は専門学校出身で総理大臣にまで登りつめました。中学校出身で「社長」になった人はいくらでもいると思われます。

 現在は大学を出ても正社員にもなれず、仕方がなく派遣社員に甘んじている人もいます。身分不安定な派遣社員では結婚も消極的になり、たとえ結婚しても将来のことを考えますこどもも生むことも出来はません。

 格差社会の固定化とは「努力・希望」がむなしくなるということです。「努力・希望」が報われる人は、ほんの一部の人で財力とコネがあり、エリートコースに乗れる人だけになってしまいました。

 スポーツ界でも一流選手になるには、たとえばイチロウ選手のように育てるには、こどもの練習に自宅の庭か屋上、又は地下室にバッティングゲージを作れる環境が必要です。レギュラーを取るには能力や才能だけでは勝負できないのです。

 世の中の仕組みがすべて固まっていませんか。中々固まった殻を打ち破ることが出来なくなりました。

格差社会がつづくなかで自殺者が増えています。凶悪犯罪も増えています。すべての原因は格差社会にあるとは言い切れませんが、このような政情不安に慣れてしまったのは事実です。

 振り返ってみますと自殺者も凶悪犯罪も昭和といわれた20数年前は少なかったです。さらに大正・明治まで振り返りますと自殺者も凶悪犯罪も「大事件」として語り継がれました。

 現在は自殺者も凶悪犯罪も毎月、いや毎週のように起こり、「大事件」が、次々に起こりますので語り継ぐというよりは忘れてしまうほどです。実に悲しい世の中ではありませんか。

 悪政が50年もつづきますと日本をこのようにしてしまいます。何年かかってもいいですから、すべての若い人たちに「努力・希望」がむなしく感じられない社会を作って欲しいです。

 現在は人生百年の時代です。悪政が50年つづきましたが、残りの50年を間違っても後戻りさせてはいけないと思います。

 なにはともあれ自民党政治が終わったことはめでたいことです。マスコミが自民党総裁選挙を盛んに取り上げていますが、見ているほうは「もう関係ありません」と言いたくなります。

 新政権に期待をして見守っていこうではありませんか。

 「きつね顔」の人はもう二度と出てこないでください。


(2009年10月1日)



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