思うがまま…

臼井淳一
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(27)間違いだらけの読書?

 いま面白い本2冊をまた交互に読んでいます。「歴史を紀行する」司馬遼太郎著(文春文庫)、「日本野球はなぜベースボールを超えたのか」狭山和夫著(彩流社)てす。

 まだ2冊とも読み始めですが、「歴史を紀行する」の中で興味深いことが書かれていました。土佐(高知県)のことです。黒潮沿岸地方に土佐も含まれていますが、なぜか土佐だけが隔離されていたということです。

 日本中どこにでも「鯉」や「ナマズ」がいますが、同じ四国でも土佐だけは334年前には生息しておらず、大阪から1万匹買い付け川や池に放したそうです。

 四国を地図で見ますと東西に「四国山脈・脊梁(せきりょう)山脈」があり、この山脈が障害となり、土佐は隔離状態であり、動植物も簡単には移動できなかったのです。本土、九州への往来は大型船が運航するまで土佐は陸の孤島状態にあった珍しい場所です。

 四国山脈は長く、東西約250キロ、南北約50キロ、今の時期(3月)でも積雪が多く厳冬期は東北地方とあまり変わりません。

 大河ドラマ「竜馬伝」で放映されていますが、江戸へ行くのには土佐からは海路では行けず、土佐街道を経て今の香川県・伊予から海路〜陸路を経て16日もかかったそうです。

 そんなことを想像いたしますと、土佐という国には隔離された「純粋日本人」が334年前まではいたのではないでしょうか。

 「純粋日本人」とはどういう意味なのでしょうか。たとえば日本全国の言葉一つとっても「まぁ、まぁ」「ボチボチ」「ここらへんで…」「かんべんしてなぁ…」とかいう曖昧な言葉は土佐にはないそうです。

 「白か黒か」「正しいか間違いか」ものごとをはっきりさせないと気持ちが治まらないのです。

 その内容も政治・経済に留まらず、「あの杉木が曲がった原因」とか「隣の女房は男女どちらを産むか」とか何でも議論の対象にしてしまい、それもお酒を飲みながら延々とやるそうです。

 ちなみに白黒はっきりさせるために、全国で弁護士が一番多いそうです。民事でも最高裁まで争う意気込みです。裁判所に「バカバカしいからいい加減にしなさい」と言われるそうです。

 今でも「酒の肴」は「議論」なのです。酒の宴会で歌を唄うとか、三味線で「チントン・シャン」でお酒はあまり飲まないらしいです。

 わたしの知人で土佐人がおりますが、これも「議論」が好きです。それも回りくどいのです。思わずせっかちなわたしなどは「ハイ白ですハイ終わり」と叫びたくなります。

 話は前後しますが、334年前に大阪にきた土佐の馬は土佐駒といい、小さな犬に武士が乗っていたようで、関西の人はビックリしたそうです。実はこの馬は四国山岳地帯で大活躍したそうです。(残念ながら絶滅しました)

★「土佐駒」という在来馬は野間馬と良く似ていたそうです
 http://www.noichizoo.or.jp/nomaumatojo.htm

 わたしの知人である土佐出身のOK田さんを334年前に戻して「土佐駒」に乗せて刀を振り回しても、まったく違和感はなく、想像しただけでも可笑しくなる好人物です。ちなみにナマズのひげみたいなのをはやしていますが、この魚は子ども頃に大好きだった変わった人です。

 坂本竜馬は隔離された「純粋日本人」です。発想がとてもユニークで、特に素晴らしい行動の持ち主でもありました。それにしても「薩長同盟」なる難しい同盟を結ぶことにこぎつけた坂本竜馬は、純粋に日本の未来を考えたのではないでしょうか。

 「純粋日本人」でかつて隔離された日本民族はアイヌ民族と土佐民族ではないでしょうか。これ以上書きますと人種差別になり、一刀のもとに切り倒される恐れがありますので止めておきます。

 「日本野球はなぜベースボールを超えたのか」野球の本ですが、興味深い一文だけを紹介しておきます。

 『アメリカが計画したWBCとやらの大会は、日米の野球の違いを見せつけるいい実例となりました。「誤審」のボブ・デイビットソン審判には、私たちにアメリカ野球の本質を具体的に見せてくれただけでなく、日本野球の伝統に改めて気づかせてくれた点で、私たちは深く感謝しなければならないだろう』

 いろいろ考えさせられる一文です。


(2010年3月15日)


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