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[1]転んでもタダでは起きません

 わたしは、ものごころがついた頃から体に「生傷」が絶えたことがありません。原因はすべてわたしの「性格」から来るものです。いわゆる「慎重」さがたりないのです。まぁ「あわてもの」「おっちょこちょい」が災いの最大の原因です。

 こどものころよく祖母にいわれました「そんなに生傷が多くては、女に生まれていたらお嫁にいけないよ」と。
 現在でも野球の審判でボールが体のあちこちに当たり「生傷」が絶えたことがありません。

 先日も野球・審判の合間に時間がありましたので、車の中で一眠りして起きたら30分前でした。あわてて仕度をして、車の後ろのドアーを下ろす時に、頭をドアーに当ててしまいました。少し痛いので手を当ててみたら、べっとり手に血がついてきました。そのうち血がポタポタと顔中に落ちてくるのです。

 あまりの出血の多さにビックリいたしまして、ちょうど道路の前にありました「中古車販売店」に飛びこみ「すいません応急処置を」とお願いしました。
 男性の方はビックリして「こりゃいけねー。救急車だー」。

 そこへ女性の方が来まして「まぁ。中に入りなさい」といって、「うーん。うーん。頭は血がでるのよ。止まれば大丈夫よ」と冷静に応急処置をしてくれました。

「ところで、オジイチャン。どこからきたの?」
 この一言は、わたしにはショックでした。けれどよーく考えてみますと、わたしの風体は、サンダルばきで上着も着ていない、ヒゲも剃っていない。まぁホームレスと勘違いされても仕方がないのです。
 ただ「オジイチャン」ではなく、「お兄さん」は無理としても「ご主人」と呼んで欲しかったです。
  
 それにしましても、女性は「血」に強いですね。ポタポタ落ちる血にビクッともしないで、手際良く処置しながら「大丈夫よ。すぐ止まるから」「そう。野球審判の方ですか。今日は止めた方がいいわ」と励まされました。

 女性はなぜ「血に強いのか」。わたしなどは、血がポタポタ落ちるのを見ただけで、その場を離れたくなるほど「恐く」なるのです。
 やはり「月のもの」があったり、出産などの経験が血に強くしているのでしょうか。血に対しては男はおろおろするばかりです。

 自宅に帰り、「愛車」が血だらけなので、女房に奇麗にするようにというと「なにいってんの!すぐに病院!」と怒られて、息子と女房に連れられて、4ハリも縫うハメになってしまいました。

 看護婦さんに「今日はお酒は…」と聞くと
「一週間ダメです!。長生きしたいのでしょう。オジイチャン」。
 ガックリ。オジイチャンで二重のショックです。間の悪いことにこの会話を女房が聞いていたのです。ということはお酒がらみで三重のショックになります。

 わたしは転んでもタダでは起きません。事故を起した鶴見区から自宅までを運転しながら、今度の「新連載」は「女は血に強い・生傷がなぜ絶えないのか」を書こうと密かに考えました。

 横浜市鶴見区弁天町「新車・中古車販売店・ライトアップ」に勤務しておられます安達優子さま、ならびに社員の皆様には大変お世話になりました。御礼申しあげます。

 しっかり名刺を頂いてくる余裕がありました。
 なになに。さすが元営業マンだって。それは違います。

 人間いつどこで、だれにお世話になるか分かりません。義理を欠かせば必ず自分にはね返ってまいります。

 安達さまへ。今度お会いする機会がありましたら
「オジイチャンではなく、お兄さん」と呼んでください。

 あぁ。ここだけの話ですが15年前にはやはり車のドアーで目の上を切りました。年とともに傷口が深く浮かび上がってまいりました。

 縫えば良かった 傷口を 嫁にこないかぁー

(2003年11月15日)

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