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[4]初 夢

新年あけましておめでとうございます。皆々様におかせられましては、平和な正月をお迎えのことと存じます。今年も小生は、相も変らず「審判稼業」に精を出すつもりでございます。
 東京は葛飾柴又より遠い 武蔵国・武州町田の菅原神社より   正月元旦 車 淳一



 いや。はや。暮れも押しつまったある日「へんな夢」を見てしまいました。

 会社へ行くと上司が「臼井さん。1年間の営業日報と退社時間を書いてね」と、わたしのデスクに書類をどっさりと置き、去っていきました。

 夢社では、入・退社時間は「キャッシュカード?」を通すだけなのです。時々わたしは退社時にカードを通すの忘れるのです。
 営業日報は、当日か翌日にパソコンに書き込むことになっています。

 わたしはあわててパソコンを開くと、なんと1月7日から真っ白ではないですか。不思議なことに「勤務日報」の書類にはすべて入社時間が記入されており、退社時間がすべて空白なのです。

 総務の田村マリ子嬢より、勤務日報にこんな添え書きが赤ペンでありました。
「臼井さん。ちゃんと退社時間を忘れた理由を書いてね。がんばってね。愛しているわ@」。

 マリちゃんが書いてくれた勤務日報を見ながら、まずパソコンで1月7日からの営業日報を書き始めました。

 そのうちに除夜の鐘が「ボーン」と鳴り、守衛の増田さんが
 「臼井さん。何やっていんの? お正月だよ?」
 「うーん。急な仕事が入り、ここで徹夜しますー」

 そして元日の夜には、3ヶ月間の営業日報と帰社時間を「でつちあげ」て書き上げました。何しろ「でっちあげ」を書くのは得意なのです。

 残りの6カ月間を書き始めたのですが、頭の中が、顧客名と数字と曜日が入り乱れ、つじつまが合わなくなってまいりました。それでもなんとか思い出し、一生懸命「つじつま」を合わせて書きつづけるのです。

 9月まで書き終えて、大きな矛盾点に気がつきました。なんと、マリちゃんが書いてくれた勤務日報は土曜日、日曜日もすべて出勤になっているではありませんか。

 あぁ。たしか、この土曜日は野球リーグの「ボムス対ビヨンズ」息詰まる熱戦の審判をやった日ではないか!

 さらに翌週の日曜日には同じリーグの「タドポール対BOS」の今シーズン最高に興奮した逆転サヨナラ試合の審判をやっているではないか!
 土曜、日曜にわたしは会社に行っていないのです。

 ということは、すべて書き直しではないか。
 「やだー!やだー!やだー!」。

 「マリちゃん。助けてくれー」。

 だれかが、わたしの肩を揺り動かすのです。
「お父さん。なにをうなされているの」という声が聞こえました。
「うるせえな。仕事やってんだよ!」

 ここで目がさめました。ちっくしょう夢だったのか。この夢は絶対に許せない!
 わたしは、2003年の1月6日で定年になっているのです。仕事から解放されて自由気ままに生きているのです。「仕事の夢」などは一度も見たことがないのです。
 それがなんで、なんで「1年間の営業日報と退社時間」を書く夢を見なければいけないのか。それは、それは大変な作業の「夢」なのです。

 41年間サラリーマンをやっていた「男の・さが」「仕事の・さが」「サボリの・さが」「無責任の・さが」「いいかげんの・さが」のつけが今になって夢を見るハメになったのでしょうか。
 それとも「責任感の強い・さが」のためなのでしょうか?

 それにしましても、実に実に「疲れる夢」を見てしまいました。この夢のつづきは絶対に見たくありません。

 昔から「初夢」はお正月の元日か2日の夜に見る夢のことといわれています。

 初夢には総務のマリちゃんは出てきてもいいです。ハゲ頭の守衛の増田さんは出てきてほしくないです。

 『初夢や 兵どもが 夢の跡』…いや夏草?いや秋草?

 2004年は「夢の後遺症」が延々とつづくのでしょうか。

(2004年 正月元旦)


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