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[11]「なんでもあり」の日本社会

 マンション・ビルは地震などでは簡単に壊れないものとわたしは思い込んでいました。現役の頃は外勤仕事でしたので、もし街の中で大きな地震に遭って、逃げ場がなかった場合はマンション・ビルに逃げ込もうと思っていました。

 わたしの自宅は旧住所「字関山」といいます。よんで字のごとく昔は田畑にも適さない丘が連なる場所です。

 13年前に移り住んだころ、近所の古老に聞きましたところ「昔は行き倒れの旅人を関山に捨てた」と言われました。どこまでが本当か分かりませんが、人が住むのには適さない場所であったことは確かです。

 その証拠に地震がありますと必ず発表より「震度1」は大きく感じられるのです。それでも家が傾くことは現在までありません。

 13年前に越してきた時には360度の景色が見られましたが、現在では180度しか見られなくなりました。また、車などは何台でも止められましたが、今では2台だけです。

 次々と斜面を造成して家が建てられている様子を見て、急斜面の原型を知っているわたしは「売れないだろう」と思っていますと、いつの間にか人が住んでいます。

 わたしの家も大地震が来て、地滑りなどが起きましたらどこまで下に落ちていくか分かりません。唯一心配のないことは上から家が落ちて来ないということです。


 今回のマンション耐震強度偽装問題は、マンションが倒壊した場合に、居住者にも大きな被害が及びますが、その周りの住宅も危険です。マンションが倒壊した場合に打つ手はありません。

 こんな危険な問題が日本全国に広がりつつあります。原因ははっきりしているのです。それは「民間」と「民間」が慣れあい、利潤追求のあまり「安全」という手間のかかる仕事を放棄したからです。

 また「官」ができることは「民」へという政策の破綻の現われだと思います。「安全」が売買できる危険は民間に根強く残っているのです。なにしろ大手ゼネコンで「民間指定確認検査機関」を作れるのです。あとは国土交通省に報告するだけなのです。

 野球を例にしますと、投手の投げる球はすべて「ストライク」と審判員にコールするようにと「だれかさん」に命じられるのと同じです。

 野球ならがまんできますが、ことは「人間の命」に係わる大問題なのです。わたしたちの知らないところで「官」から「民」への弊害がこれからぞくぞくと現われてくるのではないでしょうか。

「衣・食・住」は安全・安心が常識でした。それが規制緩和と民営化をアメリカに押し付けられました。そして「改革・改革」と叫びながら受け入れてしまいました。

 その結果が利潤追求のみに走り、「モラル・マナー」が置き去りになり「なんでもあり」の日本社会にしているのです。

 もうその最高責任者の「だれかさん」のお名前を叫ぶことは空しくなりました。

(2005年12月15日)




 前回の「12月&呑み助」 に、こんな感想と間違いの指摘をいただきました。

 品川駅から23時○○分の各駅停車は大阪行きではなく、大垣行きです。私も若い頃酔っぱらって、愛知県の蒲郡まで行ったことがあります。翌朝始発の電車に乗って戻りましたが、東京までの直通電車がなく、静岡行き、熱海行き、小田原行き、東京行きと乗り継いで帰った事があります。でも「ずる休み」はしませんでしたよ。

 始発の静岡行きは行商のおばさんたちでいっぱいでした。今となっては懐かしい想い出です。ちなみに大垣行きは今では「ムーンライト・ながら」という快速電車になり大垣まで走っています。

(球下剛史)



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