【7】現実とロマンテックは「紙一重」
作  臼井 淳一
挿絵 金光 敏博


 山でトイレに行くことを「キジを撃つ」といいます。もちろん大きなキジの方です?。
 深夜にひとりテントを脱け出し、キジをうち、ふっと上を見上げると、満天の星空です。流れ星がぶつかるのではないかと心配するほど見られます。満天の星空を眺めながら「あぁーあの星の向こうに何があるのか?」と、もの思いにふけります。
「あぁ、紙を忘れた!」
 青春の現実とロマンテックは「紙一重」です


きりえ「山を想えば」

 山で見る星と都会で見る星の違いは、なんといっても星の輝きです。特に冬山で見る星の輝きはめったに出会えないので、思わず見入ってしまいます。、山の先輩から「寒さを忘れて夜空を見続けていると、眼だけが凍傷にかかる」と脅かされました。
 山で星を見つづけたおかげで、私の眼は遠くしか見えません。
 老眼と近眼は紙一重です。

 「♪星はなんでも知っているー♪」私の若い頃、三橋美智也が歌っていました?。だれが歌っていたかはどうでもよかったのです。なにしろ「山」を始めてからは、テレビもラジオも見ざる聞かざるの状態でした。
 青春の勘違いも紙一重です。

[2001年9月]



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