【9】下宿の部屋の天井には山の地図
作  臼井 淳一
挿絵 金光 敏博


 山の道具のなかで一番に愛着を感じるのは「ピッケル」であります。はじめてピッケルを手にしたときには、雪のない冬山にピッケルを持って出かけ、「雪やこんこん」「雪がふーる」と唄ったものです。

 下宿の部屋の天井には山の地図をぎっしり貼り、壁にはアルプス、ヒマラヤの写真をべたべた貼りつけ、その壁にピッケルを斜めに吊るしました。また、天井からザイルをたらし、首吊ではなく、宙吊の瞑想にふけりました。

 そんな部屋の中で読む「山岳小説」「山の紀行集」は、テレビ、ラジオを全く必要としないほど魅力ある読み物でした。新宿の紀伊国屋書店、渋谷の三省堂には山の「コーナー」があり、3日に一度は立ち読みしたものです。


きりえ「仙丈岳」

 現在、私の本棚には、池波正太郎、藤沢修平、山本周五郎、司馬良太郎、津本陽、嵐寛十郎、月形竜之介、秋山小兵衛、椿三十郎。もう時代劇本ばかりです。山の本は一冊もありません。あぁ、一冊ありました「野山の植物」(小学館)。

 最近のことですが、栗・太・郎という無名な人から「師匠、南アルプスに連れていってください」というメールをいただきました。師匠とまで言われたのでは、何とかしなければと思い。ムクムラと「青春の血」が騒ぎ出すきょうこのごろであります。

[2001年10月1日]



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