スポーツに吹く風
スポーツジャーナリスト 泉 准也


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 ■2 テレビに嫌われたプロ野球の行方

 この夏のこと。高校野球甲子園大会七日目、延長戦続きでナイターとなった第四試合を見ていたある知人から、こんな電話が入った。
 「高校野球、こんな時間まで放送やるんだね。今の時代、プロ野球をテレビでやらなくなったせいかな」
 こんな笑うに笑えない話を聞いて、厳しい現実をあらためて思い知らされた。

 夏と言えば、朝から夕方まで高校野球を見て、夜はビールでも飲みながらプロ野球を見る。そんな光景が定番だったが、この夏、お盆休み真っ最中というのにプロ野球を地上波ではほとんど見られなかった。
 一方、九月末にプロ野球は最終局面を迎えた。今季からシーズン一位球団から三位まで、クライマックスシリーズ(プレーオフ)で日本シリーズ出場権をかけて戦うことになった。
 特に加熱したセ・リーグのレギュラーシーズン終盤は、巨人、中日、阪神の三強が日替わりで首位に立つというもつれ合い。ファンもハラハラドキドキ。「きょうはどうなる?」。しかし、テレビ中継はほとんどなかった。

 地上波の全国ネットで放送されるプロ野球というビジネスモデルが頼れなくなった。地上波というメディアの役割りも、「巨人戦」なるソフトで、当たり前のように視聴率二〇%をたたき出していた時代とは違ってきている。
 関東地区のプロ野球中継(巨人戦)の九月初旬の視聴率は、首位攻防三連戦の好試合ながらも視聴率は一〇・五%、一二・八%、九・八%(ビデオリサーチ調べ)。
 阪神の地元・関西地区の同じ九月七日からの視聴率一八・五%、二五・一%、二二・一%に比べると差は一層際立つ。
 ここは、冷めた関東地区の巨人ファンに今一度「奮起」してもらうほかないのだろうか。
 球団もベストを尽くさないと来季はどうなるか……。

(「損保のなかま」2007年11月1日付より)


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