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 ■1 五輪招致と石原知事のファシズム

 東京都の石原慎太郎知事は九月二十日の都議会で、二〇一六年以降のオリンピック招致を正式に表明した。

 石原知事はオリンピック招致の理由として、「成熟した日本を世界にアピールする」「閉そく感を打破する」などの点を挙げた。
 日本が経済大国になったのは間違いないとしても、実態をみれば競争原理に基づいた弱肉強食の社会となり、貧富の格差はひろがって人心が荒廃するなど、「成熟」とはほど遠い現状だ。「閉そく感の打破」というが、閉そく感を作りだしているのはほかならぬ知事自身ではないか。
 「日の丸・君が代」を学校現場に強制し、従わない教師を処分するというやり方は、まさしくファシズムそのものだ。ファシズムが社会を閉そく化するのは多くの歴史的事実によって証明されている。

 石原知事は、大国日本の象徴として首都東京の大規模な再開発(競技施設など巨大なハコものづくり)をも企図している。
 ヒトラーがナチスドイツの偉容を世界にアピールするためにベルリンオリンピック(一九三六年)を利用したのと、石原知事の企てとが重なって見える。
 知事はオリンピック運動の理念と自分の思想が相反するものであることを自覚していない。「三国人」発言に象徴される人種差別主義など知事の思想は、オリンピック憲章に根本から違反しており、招致をいう資格はない。

 今や日本は小泉翼賛政治のもとで「戦争する国」へと暴走しており、ファシズムは強められている。
 オリンピック招致の狙いはその流れを加速させ、より大きくすることにあると見なければなるまい。

(「損保のなかま」2005年11月1日付より)


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